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このページでは、産業廃棄物の不法投棄問題について解説しています。廃棄物の不法投棄問題の概略、不法投棄の現状、処理業者、撤去、対策、罰則、SDGsとの関連についても取り上げます。
産業廃棄物の不法投棄問題は、国や自治体が取り組む廃棄物行政の最も大きな課題の一つとなっています。産業廃棄物とは、産業活動によって生じる廃棄物のうち、「燃えがら」「廃油」「金属くず」など廃棄物処理法で規定された20種類の廃棄物です。これら産業廃棄物に関して、廃棄物処理法など法令に違反する仕方で不適正に処理されることを不法投棄問題と言います。
全国の産業廃棄物の総排出量は、令和元年度で約3億8,596万トン、前年度比で約700万トン(約1.9%)です。産業廃棄物の不法投棄の状況は、令和2年度に判明した不法投棄件数が139件(前年度151件)、不法投棄量は5.1万トン(前年度7.6万トン)となっています。
産業廃棄物の不法投棄が招く問題は、大量の産業廃棄投棄による水質汚濁・土壌汚染・大気汚染といった環境汚染、それに伴う生活環境の損失と健康被害、さらには、最終処分場が不足する問題も懸念されています。
産業廃棄物の不法投棄の現状として、数値データから見ると不法投棄は減少傾向にあります。
環境省が発表した平成7年度(2000年)~令和元年度(2019年)までの「不法投棄件数及び投棄量の推移」では、不法投棄事案は平成7年度には投棄量(万t)ベースで44.4万t、件数ベースで679件でしたが、現在は、令和元年度実績で投棄量・投棄件数共に半分以下(投棄量3.4万t/投棄件数151件まで減少しており、経年変化で見ても平成7年度からすると減少傾向にあります。
このように、数値データで見ると、産業廃棄物の不法投棄事案はピーク時に比べて大幅に減少しています。ただし、不法投棄件数も投棄量もゼロには至っておらず、依然として大規模不法投棄事案は発生しているのであり、その根絶に向けた取り組みが急務であることに変わりはありません。
産業廃棄物に関して不適正な処理を行っているのは、以下の3者に大別されます。
排出事業者とは、廃棄物処理業許可(産業廃棄物処理業者許可証)を受けて活動している事業者です。実行者不明は不法投棄実行者が不明なもの、無許可業者は廃棄物処理業許可を受けていない業者を指しています。
平成15年12月22日環境省報道発表資料による「不適正処理・不法投棄の状況④-不法投棄実行者の内訳ー」によると、不法投棄実行者の内訳は、投棄件数ベースで排出事業者が40~50%、無許可事業者・許可処理業者を合わせた処理業者の割合が20%強となっています。また投棄量ベースでは、平成13年度は排出事業者が約50%、無許可事業者は約20%、平成14年度は許可処理業者が45%となっています。
不法投棄された産業廃棄物の撤去は、道理からいえば、廃棄物の所有者が撤去を行い、それにかかる費用負担も行わなければなりません。実際に不法投棄が行われた場合、土地の所有者は廃棄物の所有者及び投棄実行者に対して、廃棄物の撤去と損害賠償を請求することが可能です。相手が撤去に応じない場合でも、裁判所に強制執行の申し立てを行い、第三者に代わって撤去をしてもらったり、費用を請求することもできます。
一方、廃棄物処理法第5条第1項は「土地又は建物の占有者(占有者がない場合には、管理者とする。以下同じ。)は、その占有し、又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めなければならない。」と規定しており、投棄実行者が不明な場合などは、最終的に土地所有者が撤去を行い、費用負担しなければならなくなる可能性もあります。
未然防止では、産業廃棄物管理票制度の導入など「マニフェスト制度の徹底」、業許可制度や委託契約書の締約義務を課すなど「適正な処理を確保するための対策」、罰則導入により防止を図る「不法投棄等の罰則」、施設許可制度・廃棄物処理センター制度・維持管理積立金制度など「適正な施設の確保」、報告徴収・立ち入り検査・パトロール事業・不法投棄ホットラインの開設など「監視の強化」を行います。
支障の除去は、処理基準・保管基準に違反した事業者に改善命令を行う「改善命令(法第19条の3)」、同基準に違反した事業者等に対する支障の除去等の措置を行う「措置命令(法第19条の5、第19条の6)」、措置命令に従わない場合・原因者等不明の場合・緊急時で措置命令を行ういとまがない場合に自治体代執行する「代執行・費用請求(法第19条の8)」、代執行を行った自治体に対して7/10補助する「適正処理推進センターの支援」を行います。
不法投棄による罰則は廃棄物処理法で定められています。罰金の金額は個人の場合と事業者の場合で異なっており、個人が不法投棄を行った場合は、「5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金」(廃棄物処理法第25条)、産廃事業者が不法投棄を行った場合は、前出の「5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金」に加えて、法人に対して最大「3億円以下」の罰金刑が科されます。
廃棄物処理法では不法投棄に関する様々な罰則を定めていますが、大きくかかわってくるのは25条です。25条では罰金のほか、以下のような罰則が規定されています。
産業廃棄物の不法投棄で処罰された事例をいくつかまとめました。紹介事例以外にも、全国各地で大規模不法投棄が行われ処罰された事例が報告されています。
2002年5月に青森県と岩手県の県境で発覚した国内最大規模の産業廃棄物不法投棄事件です。不法投棄量は約82万m3にも及び、事件には10,000社以上の排出事業者が関係していたとされます。これに対して青森・岩手両県は、排出事業者への報告徴収を行い、違反した場合は措置命令を出す方針を打ち出しました。そして事件後、数社の排出事業者に対して、不法投棄廃棄物撤去の措置命令を出しています。
1990年に香川県で発覚した産廃業者による不法投棄事案です。シュレッダーダスト等、51万m3にも及ぶ廃棄物が1978年から不法投棄されていたとされ、1990年に兵庫県警によって摘発されました。摘発後、住民が産廃排出事業者・香川県を相手に訴訟を起こし、1996年に住民側が全面勝訴(地裁)、2000年6月には県と住民の「公害調停最終合意」が成立しています。
産業廃棄物を処理するための施設を設置する場合は、事前に都道府県知事の許可を得る必要があります。
汚泥の脱水施設をはじめ、乾燥施設、有害物質を含む汚泥のコンクリート固形型施設といった中間処理施設から最終処分場を含めて、設置許可手続きを行わずに産廃処理施設を設置することはできません。無許可で産廃処理施設を設置すれば罰則対象になるため注意が必要です。
2015年9月に国連で採択された万国共通の目標を掲げる「SDGs」の中には、「すべての人に健康と福祉を」「安全な水とトイレを世界中に」「住み続けられるまちづくりを」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」など、地球環境の保護や再生、循環システムの構築、人間の健康生活、水、衛生分野などの環境改善の目標が掲げられています。
産業廃棄物の不法投棄は上記の目標実現を著しく阻害するものであり、益が全くないばかりか、状況を放置することで目標から遠ざかってしまいます。各国が掲げるSDGsを実現するためにも、産業廃棄物の不法投棄は根絶しなければなりません。
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